
1976年初演の映画「ロッキー」は、ボクシングを題材にしたシルベスター・スタローンの出世作ですが、彼が演じるロッキー・バルボアがトレーニング中、栄養をつけるため生卵5個をコップに割り、そのまま飲み込むシーンが有名です。
このシーンは生卵を食べる習慣がある我々にとって、特に違和感はありません。もちろん、生卵だけをそのまま飲むことはなく、卵かけご飯やすき焼きで食べる方が多いと思いますが、「栄養つくだろうなぁ」という程度の感想ではないでしょうか?しかし、欧米での反応は、日本とは全く違ったそうです。欧米では1980年代に卵のサルモネラ・エンテリティディス(SE)食中毒が大問題となり、卵は加熱調理して食べるのが常識となりました。
日本のパック卵は洗浄・殺菌されているので、卵殻のサルモネラ菌汚染(OnEgg汚染)の心配はほとんどありません。一方で、かつては卵内部への汚染が問題となっており、2000年前後にはサルモネラによる細菌性食中毒が多発しました。主な原因はサルモネラ・エンテリティディス(SE)によるもので、これはSEに感染した親鳥が産む「InEgg汚染卵」によって、卵内部の卵黄膜上に菌が付着することがあったためです。
現在はサルモネラ不活化ワクチンの効果と徹底した衛生管理のもと、InEgg汚染卵は10万個に3個程度とサルモネラ食中毒の事件数が激減しています。当時のロッキーの生卵シーンは、見方によってはサルモネラ食中毒をも恐れず、試合に挑む覚悟を示した場面だったかも知れません。欧米の映画館ではこのシーンで悲鳴が上がったとのこと、生卵の印象は国によって大きく違うのだなぁと思わせる映画でした。