鶏卵研コラム #014「ニコラ・テスラの『コロンブスの卵』」

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交流電流システムを確立したニコラ・テスラが「コロンブスの卵」装置を作製している。本物の卵ではないが、銅製の卵を誘導モーターで生じる回転磁場により高速回転させて立つことを見せた。この装置は1893年のシカゴ万博で展示され、現在はセルビアのベオグラードにあるニコラ・テスラ博物館にある。テスラの発想は交流電流により生じる目には見えない回転磁場で目に見える卵を回転運動させた点である。しかも高速回転させて卵を立てたのであるから、それを見る側のインパクトはコロンブスの卵的であったろう。

ここで起き上がりコマを連想した。回転させると立ち上がり、逆立ちして回るコマである。その起源を調べてみると19世紀に卵型の石で実験が行われているし、1891年のドイツで特許まで取られている。テスラはもちろん回転すれば卵が立つことを知っていたのであろう。さて、ゆで卵も回転させると先端部を下にして立ち上がる。多くの人がゆで卵を回転させて立てたであろうが、その原理はわからなかったようだ。しかし、ついに2002年3月、Nature誌 416号 385-386ページに初めて、回転卵の立ち上がり理論が発表された。ケンブリッジ大学のモファット教授と慶應義塾大学の下村裕教授の共同研究である。

論文では回転卵がなぜ立つかを数式で証明している。読んでも難しすぎてわからないが、なんとその数式から回転卵が立つ前に少しジャンプして空中に浮くことが予測された。ゆで卵が立つだけでなく空中に浮くなんてコロンブスの卵的すぎる。そして、下村教授は回転卵が浮くことを実験で示すため、ゆで卵回転装置を自作して、高速連続撮影カメラと連動させ、ついに回転卵が飛び上がる瞬間を捉えて証明した。そのたいへんご苦労された研究記録が「ケンブリッジの卵」として2007年に慶應義塾大学出版会から刊行され、YouTube動画でも紹介されている。ぜひご覧ください。

【当該サイト】
足立研セミナー: 回る卵はなぜ立ち上がりジャンプするのか?
URL: https://www.youtube.com/watch?v=tD1VCahPXAU (49分ごろ)