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卵を産んだ鶏の写真

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2026.05.31
所長コラム #11 「Know-HowよりKnow-Who、時々Know-AI」

 今は昔、ビジネスの世界でも研究の世界でも、できるヒトはなんでもやり方をよく知っていた。いわゆるKow-Howをたくさん持っているヒトである。かく言う私も、できる研究者を目指して、知識と方法論(Methodology)の習得に心血を注いだものである。論文をたくさん読み、最新の知見をノートに書き出し、問題解決能力を高めるMy Know-How Bookを作って活用していた。その努力は、それなりに卵の研究開発に役に立った。

 それからインターネットが世の中に広がり、世界中で情報が溢れ出した。情報を波に例えてネットサーフィンなる言葉が生まれたのもこの時代である。Googleなどのブラウザで、知りたいことを検索すれば、なんでも手に入る時代となった。そして、My Know-How Bookはその役割を終えた。世の中、Know-HowよりKnow-Whoが大切だと言われ始めたのもこの時代である。Know-Howを極めたヒトを何人知っているか、困った時に気軽に尋ねられる頼りになるプロフェショナルな人材を何人知っているかができるヒトの基準となった。

 かく言う私も、Know-Whoを広げようと頑張ったが、相手は第一線で活躍しているプロフェッショナルである。こちらが教えを乞うばかりのTake&Takeでは良い関係が続かない。こちらも、それなりに個の力をつけなければ話にならない。自分が役に立てることは何か、頼ってもらえる専門分野は何か。その専門分野を常に鍛え、かつアピールし、Give&Takeのバランスをとることが大切であった。この頃から、より積極的に「卵のことなら何でも!」を、自分のキャッチコピーとして使い出した。やはり人間関係はTake&TakeよりGive&Takeで、Giveの器が若干大きい方が長続きする。

 そして近年、生成AIが登場し、その進歩性や実用性は誰もが認めるものであり、あっという間に社会のインフラとなりつつ、AIなしでは仕事にならない時代が押し寄せている。世界中のデジタルデータがAIの頭脳であるから、いかなる問いにも淀みなく答え、いかなる相談にも「なるほど」と唸るような最適解を提示してくれる。このコラムの話の流れでは、Know-WhoよりKnow-AI(AIをいかに活用できるか)が大切だと言わざるをえない。

しかし、ぜひ、そんな流れにならないように願いたい。生成AIは確かに有能で便利だが、その本質はテニスの壁打ちである。一人で壁打ちばかりしても、そこに真の創造性や歓びは生まれない。一方、これまで育んできた「Know-Who」という人間関係は、いわばネットを挟んで互いの呼吸を感じながら行う本物のテニスである。時々、壁打ちしながら個の技術や精神を鍛え、信頼する仲間たちと白熱したラリーを楽しむ。それこそが、これからの時代において本当に「できる人」の姿であり、私たちが目指すべきKnow-HowよりKnow-Who、時々Know-AIであると信じている。

Geminiで制作したコラムタイトルのイメージ画像

「鶏と卵の研究所」所長 八田 一